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上場企業の経理部が解説する“税務調査対応”の裏側

企業に「税務調査」が入ったとき、誰かが窓口となって調査官に対応する必要があります。ほとんどの会社組織では、経理部門が担当することが多いでしょう。

この記事では、大企業における税務調査の概要と、その対応実務について解説します。

調査官の攻撃から、自社を守るのは辛いところもありますが、私は非常に良い経験ができたと思っています(終わったから言える…)。

大企業に入る税務調査のスケジュールと仕組み

そもそも税務調査とは何か

企業や個人は、自ら納税すべき額を計算(=申告)して、支払い(=納付)を行います。

特に、企業の場合は法人税を国に納めており、その計算方法は法人税法にて定められています。法人税は国の税収の2割を占めており、税収の3割を占める個人所得税の次に大きな財源となっています。

これを間違いや不正のないよう、正しく申告・納付できているかを確認するのが税務調査です。

税務調査とは?

税務調査は、不定期に企業や個人に対して行われる国が行う「税金の申告内容の間違い探し」です。調査は税務職員である国家公務員が行います。

調査の時期や調査官の人数は、企業の規模によって異なり、1つ1つの調査ごとによっても微妙に違いがあります。

ある程度の規模までは「税務署」、規模が大きくなったり連結納税を適用している会社は「国税局」が調査を担当します。「国税局」の方が組織の規模、専門性の幅が広いです。

私の会社では「国税局」の方々が担当されていました。しかし、調査を受ける側からするとあまり意識するところではないかなぁと思っています。調査の量や難易度に見合ったチームが調査を担当するというだけです。

大企業の税務調査の概要

大企業の場合、調査官は国税局の職員がチームで担当します。おおよそ5名〜10名程度のイメージです。

責任者である「統括」、現場リーダーである「総括」、その他メンバーで構成されたチームは、それぞれ分担、協力をして税務調査を進めます。

調査は大きく分けて3段階に分けられます。

  1. 調査の準備=「調査宣言」があり、調査に利用するの資料の事前送付
  2. 調査の実行=調査官が会社に来て申告が合っているかチェックされる
  3. 指摘の確定=最終的な指摘事項とすべき項目を確定させる

その年の調査の対象となるときは、会社に直接、もしくは顧問税理士に当局から電話が来ます。そして総括、統括が挨拶で来社し、事前準備資料の一覧を受領します。

あとは翌月1日あたりにキックオフミーティングのような「調査宣言」があり、そこから調査が開始されます。

税務調査の頻度はどのくらい?

税務調査の頻度は決まりがなく、国税側の裁量によって決まります。会社ごとに異なると言えばそれまでなのですが…

上場会社のように、ある程度の規模や利益がある企業に対しては、ざっくり3〜5年に1回程度と思って下さい。

「優良法人」には優遇あり

国税庁は優良企業を対象に税務調査の頻度を下げる方針を公表しています。資本金40億円以上の企業を対象に「経営責任者が適正申告に向けた指導を社内で実施しているか」「不適切な行為を抑制する体制が整備されているか」といった条件がクリアされていれば認定されます。

しかしその逆も然りで、前回調査で重大な指摘があった企業、課題が多かった企業は頻度が高くなります。これは当たり前の話で、国税側としては税を正しく納付してもらうため、対応を厚くしようと考えるからです。

大企業の税務調査のスケジュール

一般的な大企業における税務調査のスケジュールは以下の通りです。小規模企業ですと、年明けからスタートするような会社もありますが、

時期 イベント 内容
7月 国税組織の人事異動 新事業年度開始
10月〜12月 大企業の税務調査 ある程度の規模の会社を対象
1月〜3月 調査結果の結果確定 基本的にはここで終了
〜6月 修正申告の実施 新事業年度の申告前に実施

国税職員のみなさんは、毎年7月に人事異動がありここで新組織、新体制となります。調査チームの半分以上が入れ替わるようなことも普通にあります。

なぜ毎年人事異動があるの?

これはひとえに、国税職員である調査官と、納税者側である企業との馴れ合い、癒着を防ぐためになります。調査の過程で、日常会話をする機会もあり、どうしてもある程度は仲良くなる可能性があります。

私も、だんだんと調査官の方と無駄話したくなってきてしまいました。我慢しましたけど!

そして9月頃、その年の調査対象となった会社に連絡があり、調査開始となります。

そして早ければ年内、企業規模が大きかったり、調査が難航すると年明け以降も調査を続行することとなります。

最終的には、「修正申告」か「更生」による税額の変更を行うことになります。大なり小なり追徴課税を支払うことになるわけです。

修正申告 指摘内容に合わせて企業が自ら申告書を再提出する
更生 税務当局側から指摘内容を強制的に適用処分される

同じように調査内容に従って税額を変更するにせよ、体裁が違うというわけです。この捉え方、どちらとなるかは事情や状況によって異なりますが、いずれにせよこの手続が終わることで一段落となります。

企業の税務調査対応の現場

調査官は公務員なので帰りは16時が目安

企業の税務調査は、基本的にその企業の事業所に出向いて行われます。

多くの企業では未だに書類がすべてペーパーレス化されているわけでもなく、調査する側の国税側もデータtoデータのやり取りを受け入れる仕組みが構築されていません(メールでデータを送ることすらまならなない…)。

そのため、企業は調査期間中において、「調査官が調査を行うための執務室」を用意することになります。しかも鍵がかかる場所、セキュリティが保証されている場所を貸してほしいと言われます。

調査官は、基本的には10時くらいに調査会社に到着し、16時くらいには調査会社を後にします。

調査官は「働き方改革」真っ只中の公務員です。それと同時に必要以上に会社の担当の時間を奪うような負担をかけてはいけないことになっています。

さらに調査官には事情がある!

情報漏洩・セキュリティの観点から、調査官は会社に直行することも直帰することもありません。朝には自分の職場である国税局や税務署に立ち寄ってから調査会社に出向き、帰宅前にも立ち寄ります。

調査している会社の資料は、その企業の機密情報であるため、万が一にも外部に漏洩してしまうことを防ぐためです。

他人事ではありますが、面倒で大変そうだなぁと同情します…。

16時には、調査を受ける私達もいったん開放されるため、このメリハリには助けられます。自分の仕事に集中できますし、翌日の調査対応の準備をしたりもできます。

互いにストレスを貯めることもあります

表立ってはいませんが、調査官の成果はやはり「適切な納税への是正」であり、すなち指摘です。

想像に難くないと思いますが、企業側の担当者(私達)はミスを指摘されたくない、余計な手間は増やしなくないと考えます。

そのため、「これは間違いではないか?」と指摘してくる調査官に対し、「いいえ、合っています」と回答する企業の担当者の間には、見解の相違や意見の衝突が起こります。

調査する側、される側で立場が違います。どうしても見解を巡っては対立する関係です。

それゆえに、調査対象の資料の出し方(提出スピードや情報の粒度)一つとっても揉めるようなこともありあます。

こればかりは、月並みな言葉で恐縮ですが「お互いを尊重」するしかないと思います。

調査官も自分の立場や義務感があり、企業側にも立場や言い分がある。これを双方が理解しないと、ただの子供の喧嘩と変わらない不毛なやり取りが増えることになります。

社内外のキーマンをいかに上手に連携できるか

調査を受ける企業の担当者、私達経理部員はどのように調査対応を立ち回るべきでしょうか。

まず、事実確認だけであれば経理担当者だけで対応可能ですが、会社として出す見解や主張を整理する際には、やはり社内外のキーマンと協力体制を築き、より説得力を持つ対応をすることがポイントです。

調査官が求める資料を集めるときでも、質問に対して適切な答えを用意するときでも、社内外の協力があればスムーズにコトが進みます。

  • 調査対象の取引の全体像を把握している事業部門のキーマン
  • 会社の事業や環境、事情を理解し適切なアドバイスをくれる顧問税理士

経理担当者だけで課題を解決しようとせず、冷静になって社内外のキーマンの力を借りることができれば、税務調査は決して怖いものではなくなります。

税務調査対応をする担当として重要なこと

税務コンプライアンスを社内に浸透させる

調査で指摘されるような不正な取引や間違いをなくすためには、経理部門の人間だけが気をつければいいわけではありません。

個人的には結局はポリシーと誠実さがすべて」だと感じます。そのマインドや経理実務の考え方を社内全体に共有することで、

これこそが税務コンプライアンスですね。

税務コンプライアンスとは?

税制改正や企業の事業活動が複雑化している現在、企業に求められる会計・税務におけるコンプライアンスの概念です。

不正な取引や間違いをなくすため、確実な仕組み作りや社員に対する教育を行うことで、企業として統制を計ることが必要です。これを社内で牽引するのは、経理部門の役割の1つです。

事実をその事実の通りに、一般的に正しいと考えられる方法で処理することで、大きなリスクは避けることができます。

経理パーソンとしてグッと成長します

税務調査は大企業であるほど長丁場となり、対応する担当者は通常業務を行う時間が奪われ業務の負担が倍増します。さらに、嫌な指摘を受けどう整理するかに頭を悩ませ、精神的な負担も相当あります。

ただし、税務調査対応の過程で得られるものは、経理部門の人間として非常に価値ある経験です。

  • 自社の会計処理を客観的な目線で見ることができる
  • 次回の調査までに修正すべき課題が分かる
  • 会計・税務知識の基礎を再勉強できる
  • 社内外のキーマンとの関係が深くなる
  • 税務調査を乗り切ったことが自信になる

税務調査を担当することになったとき、確かに大変なことは多くありますが、経理部門の人間として成長できる絶好の機会です。積極的に手を挙げてもよいと思います。

私も調査を経験した今、経理パーソンとして一皮剥けた実感があります。今の会社で働き続けるにせよ、転職するにせよ、自分の武器として活きてくると感じます。

以上、「上場企業の経理部が解説する“税務調査対応”の裏側」でした。

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