企業で働く人の中には、正社員もいれば派遣社員もいます。 それぞれの収入(年収)と仕事内容について解説します。
一般企業の経理における年収・手当の違い
経理という職種における、正社員(総合職・一般職)と派遣の年収・手当の違いについて、私の経験と他社の事例を踏まえて整理します。 詳細は企業によって異なるので、あくまで一般的な事例になることをご留意下さい。
同じ職場であっても明確に差がある年収
実際に私の働いている、東証一部、従業員数1,000人程度の企業の年収を記載します。
総合職 | 一般職 | 派遣 | |
平均年齢 | 38歳 | 40歳 | - |
平均年収 | 820万円 | 640万円 | 370万円 |
一般職の平均年齢が、総合職に比べて高いのは、採用を絞っているからです。 毎年一定数の総合職を採用するのに対し、一般職の採用は、採用しない年もあります。
経理における年収の違いとしましたが、一般企業は細かな昇格スピード等の違いがあるにせよ、営業や研究、経理だろうと給与のテーブル(賃金のベース)は変わりません。 総合職と一般職は、同じ社員でも給与が違うということがわかると思います。 一方で、一般職でも十分に高い年収と考えることもできると思います。
経理志望の方でも、年収は、入社する企業の四季報や有価証券報告書、(営業などの他職種だとしても)OB訪問などで分かることを参考に企業選びをして問題ないです。
派遣労働者は基本的に時給制です。 派遣会社の求人を見ればわかりますが、一般的な事務の派遣の平均が1,300円~1,500円程度です。 経理の派遣は必要な専門知識があることや、繁忙期の残業(もちろん残業代は出ます)もあることから、平均1,800円~2,200円前後が多いです。
手当や福利厚生についても差があり
- 総合職・・・交通費支給あり。自社の福利厚生制度を使える。住宅補助あり。
- 一般職・・・交通費支給あり。自社の福利厚生制度を使える。住宅補助なし。
- 派遣 ・・・交通費は原則的に自己負担。派遣会社から受けられる福利厚生あり。
正社員は、原則、交通費が支給されます。 また、手元に残るお金に大きい影響があるのが、住宅補助の有無です。 転居を伴う異動(転勤)があるという前提がある社員(=総合職、とします)は、住宅補助が出る企業が多いです。 この補助の金額は会社によりますが、2万円~12万円程度の幅があるようです。
参考までに私の会社では、10万円程度の補助となっており、年間だと約120万円となります。 これを先ほどの総合職の年収820万円と合わせて考えると、実態は940万円ということになります。
派遣社員は、派遣先の企業からお給料を払われるわけではありません。 派遣先の勤務時間に基づき、派遣元の紹介会社を通して払われます。 交通費の支給がある場合もありますが、その場合は時給で調整され、その分、単価が安くなります。 あくまで、派遣先の社員ではないので、その会社の福利厚生などは受けられません(例外的に、会社の厚意で一部受けられるものがあるときもあります)。派遣会社によっては、派遣社員向けに福利厚生を用意している会社もあります。
正社員(総合職・一般職)と派遣の仕事内容の違い
前提として大きく異なるのは、企業の直接雇用となるのが正社員、人材派遣会社からの契約に基づいて働くのが派遣社員であるということです。 契約には業務内容や期間が定められているます。 企業からみて正社員は身内の人間で、派遣社員は取引先の人間ということになります。 実際の職場では一緒に働く仲間ではありますが、雇用の前提が違うので仕事内容が異なります。
経理の派遣社員の仕事内容
先に派遣社員の仕事内容を説明します。
派遣社員は、派遣先の会社の社員の命令・指示に従って働きます。 事前に、業務内容に関する簡単な説明はありますが、具体的な仕事の引き継ぎは実際の職場に入ってから受けることになります。 経理の職場にある作業のうち、事務的で定型的な仕事を行うことになります。 具体的には主に以下のようなこと担当します。
- 請求書や領収書に基づく会計処理(会計ソフトに向けた仕訳入力)
- 支払処理(取引先に払うお金の振込処理)
- 入金処理(会社の銀行口座に入った入金の確認・照合)
- 財務諸表作成(補助作業)
未経験でも覚えればできる、簿記3級程度の知識があるとなおいい、といった程度の仕事であることが多いです。 社会人としての責任は求められますが、請け負った作業以上のことに関する責任はない働き方だと考えられます。
経理の正社員(総合職・一般職)の仕事内容
次に正社員の仕事内容ですが、その仕事は会社の“経理”全般を漏れなく滞りなく効率的に遂行することに他なりません。
企業の経理部門の仕事内容については別途まとめていますので当ブログ以下記事を参照ください。
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正社員は、特段の区分なく採用している企業と、総合職と一般職でコース別の採用をしている企業があります。 企業の規模が大きくなると、職域のコントロールと組織のバランスを保つため、コース別採用をすることが多いです。
総合職と一般職の仕事内容の違い
(大辞林 第三版より)
総合職=企業で、主に日常的業務以外の、企画の立案など総合的判断を要する業務を行う職務。転勤などがあるが、管理職につながる。
一般職=企業で、主に日常的業務のみを行い、転居を伴う人事異動がなく、昇進・昇級に限度がある職。
総合職と一般職のコース別採用をしている場合、実際の経理の職場ではどのような業務の違いとなるかを説明します。
総合職は、その定義通り、総合的判断を求められながら働くことになります。 昇進に制限がないため、将来の幹部候補枠での入社になります。 経理であってもそれは変わらず、たんたんと定型的な事務処理をこなせばいいわけではありません。 「指示された事務処理だけやればいい」という考えで働くことはできないです。 周りの一般職や派遣社員に対し、組織にとって最もよいと考える方法で業務を行ってもらうことを考え指示・指導します。 また、自分自身は、財務諸表の動きに対する分析をタイムリーに上司へ報告したり、会計基準の変更に対する具体的な対応を考えたりその影響を算出したりします。 つまり、経理部門のスタッフとして、その企業の戦略的な機能を担う役割となります。
一般職は、社員としての責任と、事務処理の確実な実行を期待されて採用されています。 社員として、その企業が継続して収益を出せるように変化していくなかで、変化に対応した業務の実行に対応します。 総合職のサポートという役割を期待されている職場も多くあります。 経理であれば、 任されている経理処理や事務処理の中身を理解し、担当する領域については最低限の会計知識の習得が必要です。 提出資料はより分かりやすく、会計処理はその世の中に合わせて、常に変化するのですが、基本的な会計ルールがわかっていれば、事務処理がスムーズにこなせます。 業務のエキスパートであり、派遣社員に業務のやり方を指導するということもあります。
総合職 一般職 派遣|違いを理解したうえで準備をしましょう
年収と職責のバランスのイメージができたら、あとは自分にとって合う募集に応募しましょう。 自分にとって厳しい選考になると感じたら、就職活動の準備が必要です。 なるべく希望に沿った職場で働くための、ヒントになればと思います。
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