今回のキーワード 財務会計 管理会計 就職活動 どっち
会計の業務は、大きく分けて2つに分けられます。それが財務会計と管理会計です。
経理の志望して就職活動をするうえで、どのような違いがあるかを簡単に説明します。
どちらのスペシャリストを目指すべき!?
就職活動で経理を志望する方は、その違いがあるのはわかるけど結局どちらの専門能力を身につけるべきか気になるところだと思います。
まず始めにまとめをご確認下さい。
- 会計規則を実際の取引に適用し制度としての決算を学びたい
- 転職も視野に入れ他の会社での通用する経理スタッフになりたい
- 経理の専門知識を蓄積し経理業界で働いていきたい
- 自社の情報や事情に通じる経営スタッフとしてのキャリアアップを目指したい
- 数字に強い人材として他部署への異動も視野に入れている
- 自社内の事業の損益の分析を行い会社の業績改善に貢献したい
どちらも専門的な知識で働くスペシャリストには変わりませんが、タイプが異なります。
財務会計=会計という国内外で通じる共通言語の専門家
管理会計=自社内の収益性を数字で把握する専門家
なんとなく雰囲気がわかったと思うので、改めてそれぞれについて解説します。
財務会計の業務と管理会計の業務
3分で学ぶ!管理会計と財務会計の違い解説【会計基礎知識】 (経営ハッカーより)
外部リンクを貼らせて頂きましたが、まだ実務をやったことがない方はイメージしにくいと思いますので、以下でさらに簡単に、端的に説明しようと思います。
ここで実務をやったことがない人が勘違いしてしまいがちなことがあります。以下の記事で経理部門の機能を6つに整理しました。これらは、どれが財務会計でどれが管理会計だと単純に分けられるわけではないということです。
【関連記事】大企業の経理部の仕事とは|6つの機能と2つの役割
いずれの仕事を担当するにしても、最低限は財務会計としての側面がある業務が存在します。これは企業として法律で定められている決算処理で必要な仕事があるからです。
このうち、原価計算、単体決算、連結決算の業務は、数字を分析し会社の業績改善に繋げる資料を作る必要性から、比較的管理会計としてのアウトプットが求められやすいと言えます。
財務会計担当者は企業と外部の利害関係者との橋渡し役
財務会計は、財務諸表を核とする会計情報を、企業外部の利害関係者(株主、債権者、徴税当局など)に対して提供することを目的とする会計である。(wikipediaより)
企業会計は、会社の決算数値を算出することに他なりません。そのうち財務会計は、社外に公表する決算書をルール(企業会計基準と呼ばれます)に従って作成し説明をするという役割を果たします。それゆえ、制度会計とも言われます。
財務諸表を作るうえでも、公認会計士への監査対応をするうえでも、法律で決められた規則を把握して実務に反映します。必要に応じ、参考書や専門書を読んで勉強をして知識を付けます。
正しく作られた決算書は、株主や投資家といった外部の利害関係者に有用な情報となり、適切な情報開示は会社の信頼性を高めます。
財務会計の視点で、私が日々気をつけていることは、“一つ一つの会計仕訳が最終的に会社として発表しうる決算に影響するんだ”という意識をもって処理をすることです。「たぶん」や「おそらく」で確認を怠ると、痛い目を見るのは自分なので、何にでも責任感のある対応を心がけます。
管理会計は社内の利益を守る最後の砦
管理会計は、企業会計の一種。主として、会計情報を経営管理者の意思決定や組織内部の業績測定・業績評価に役立てることを目的としている。(wikipediaより)
ただ決算を正しく行い外部に開示する決算書を作るだけであれば、法律で定められている財務会計のみを行えばいいのです。しかし、会計にはもう一つの重要な役割があります。それが管理会計です。
「どの商品を何個売れば利益がどれくらい出るのか」
「会社全体の決算書を、A部門とB部門に分けたらどうなるか」
「昨年から増えてしまっている経費は何か」
上記の例のように、企業経営をするうえでは様々な問いが生まれます。それをわかりやすく説明するための計算書や比較表を作るための会計です。
繰り返しになりますが、法律で決まったやり方はなく、その手法は会社や部署、担当者が考えて資料を作成します。
なかには、あまり気付かれていなかった重要な問題を発見する資料ができることもあります。そのとき、それはただのエクセルシートではなく、企業にとって重要な価値を持つことになるのです。それにやりがいを感じる人も多いです。
自分が作る資料を、徹底的に読む人の立場になって考えるということを大切にしています。
私のかつての上司が、良くも悪くも資料の作り方にこだわりが強い方でした。同じ資料のバージョン違いを何度も出し直した経験を通し、だんだん意図したい表現がわかるようになってきました。
まったく同じ数字を表に載せるにしても、資料によって見せ方や分かりやすさが異なります。また、考え方次第で数字が異なる場合があります。
より経営層(資料を受け取る人)にとって意味のある資料を作る意識を培うことが大事です。自分の感性より、他人にとってわかりやすく表現する感性が求められています。
どちらの側面からも仕事に取り組める人が一番強い
経理を担当するにあたって、2つの側面から会計業務を捉えることができることを説明しました。まずは自分の将来像をイメージし、近いほうの業務を志望してみてはいかがでしょうか。
しかし、いずれにせよ職場で尊敬されたり経理に“強い”と評される人物は、どちらもバランスよく理解がある人だと感じます。
【関連記事】経理で出世するためには適切な管理会計を行う能力が必要