昨年、痔瘻を患いました。
どのように罹患し、どのように回復したのかを記録したいと思います。
恥ずかしい話ではありますが、私のような匿名ブロガーだからこそ書ける話があるはずです。同じような苦しさを感じている人にとって、何かしら役立つ記事になればと思います。
この記事に関する内容については、私個人の経験に基づく見解になります。診断と治療に関しては、必ず医師の判断に従って下さい。
もくじ
痔瘻など疑いもしなかった発見時から診察まで
「あれっ、なんかしこりがある気がする…」
これがすべての始まりでした。お尻の穴のから背中側に離れて2cmほどのところに、1.5cm大きいしこりが出来ていました。張っていて何か詰まっているような感じです。
押すと何となく痛いけど、普段も特に気にならない程度なのでほぼ実害なしです。しかし私は心配性なので、このしこりの話を奥さんに相談しました。
奥さんのひと押しもあり、気づいた翌日に病院に行ってみることにしたのです。
1つ目の町医者病院でいきなり切開
最初は何科に行けばいいかわからず、主に皮膚科の診療をしている病院に行きました。
ここで行った1つ目の病院の対応は、正直言ってイマイチでした。
しこりがある旨、私の症状を伝えると、お医者さんはズバッと一言。
「はい、じゃあ見せて」
(え、いきなり? 看護師さんもいるし恥ずかしい…)なんて言えるわけもなく、指示されるがままガバッとお尻を見せます。
「腫れているねぇ。膿が溜まっているかも。切っちゃおうか」
(え、まじすか? まだ心の準備ができてないんですけど…)とも言えず、麻酔をして切ってもらうことになりました。
どんな病気か説明して貰うより早く、急展開に驚きを隠せませんでした。しかしもっと驚いたのはこのあとです。
まずは局部に麻酔を注射します。チクっと来たと思った瞬間、激痛が走ります。声にならない声が出ても、当然止めてくれません。我慢すること数秒、とりあえず麻酔が完了です。
さらて続けて、麻酔が利いてきたところでメスによる切開です。また激痛です!
こんなことを書いておいてなんですが、この一連の治療のなかで、一番辛い痛みを感じるのはここです。あとの治療はかなり医療の力に助けられました。
場所的に自分からは見ることができませんが、このときにそれなりの膿が出たようです。こうしてとりあえず、私のお尻の穴の近くにあったしこりは姿を消しました。
しかし気になるのはこの病名です。事前にインターネットで調べたところ、粉瘤(ふんりゅう)という良性腫瘍かなと思っていたので、先生に聞いてみました。
「そうかもしれないし、もしかしたら肛門周囲膿瘍(こうもんしゅういのうよう)かもしれない」
「その場合、あな痔(痔瘻)になることもあるかもしれない」
「とりあえず様子見でいいと思うよ」
しかし、このざっくりとした説明が私の不安を煽り、病院を出てからすぐにネットで調べることにしました。
パッと見、似ているとされることもありますが、実体は全然違います。端的にまとめてみます。
- 皮膚科で治療する病気
- 皮膚から剥げ落ちるはずの垢(角質)と皮膚の脂(皮脂)が、剥げ落ちずに袋の中にたまってしまってできた腫瘍の総称
- 袋を取り除く簡単な手術で完治できる
- 肛門科で治療する病気
- 肛門の内側にある窪みに最近が入り肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がって膿(うみ)が出る管が出来てしまった状態
- 瘻管を取り除く比較的大掛かりな手術が必要となる
痔瘻だったらと思うとテンションがだだ下がりになりました。この日は衝撃が大きすぎて、とても心身共に消耗したのを覚えています。
2つ目の病院は胃腸・肛門科の専門病院で痔瘻の診断
その翌日、私は早速、痔瘻について正しく診察してくれるだろう痔の治療に権威のある系列の病院を訪ねました。
そこで1つ目の病院での経緯をお話ししたところ、はっきり言われました。
「肛門周囲膿瘍は、基本的に痔瘻に直結していて、手術じゃなければ治らないよ」
私はショックを受けたと同時に、安堵を覚えました。
自分がネットで調べていたことと同じ事実を伝えてくれたからです。
「では、調べてみましょう」
恥ずかしさはありましたが、しっかり見てもらいたいところです。
ここでは、触診以外にも、直径数ミリの棒のようなものの先端にカメラが付いている器具で穴の内部から状態を確認して貰えました。
さすが専門医です。これは確実な診療になるでしょう。
「やっぱり、肛門の中と切ったところが繋がっているね。痔瘻です」
なるほど、ネットで調べた瘻管というやつですね。了解です。
先生は患者本人である私の希望次第で、選択肢として経過観察もあると言ってくれました。一方で、やはり完治を目指すなら手術を薦めるいうことでした。
痔瘻の治療は手術のみ
切れ痔、いぼ痔、痔瘻(じろう)
ここで一旦、私の手術の話に入る前に、痔の種類とその治療法について簡単にご紹介します。
硬い便の排泄や下痢によって肛門に傷が生じた状態。
肛門に強い負担がかかることで、肛門を閉じる役割をするクッション部分が大きくなったもの。できる場所により内痔核と外痔核がある。
肛門の内側にある窪みに最近が入り肛門腺が化膿し、その炎症が肛門周囲に広がって膿(うみ)が出る管が出来てしまった状態。
このうち裂肛と痔核は、初期段階であれば内服薬や塗り薬、注射等で治る可能性があります。一方、我らが痔瘻は手術をしなければ根治となりません。
肛門の内部から外部に通ってしまっている瘻管は、自然になくなるということはありません。したがって、根本的に治そうとするのであれば、手術をして切除するしかないのです。
本当に軽度であり、運の言い方はそのまま瘻管が繋がり実質的に症状がなくなることもあるようです。その場合、本人の希望により様子見として手術を控えたりすることもあるようですが、個人的にはスッキリしないしリスクも高いように思えました。
私は勇気を出して手術を受けることにしました
私は意を決して手術で根治することを選びました。手術は怖いけど、人生まだ長いしビクビクしながら生活していたくないのが本音です。
2件目の病院で、初診時にそのまま手術の予約をしました。痔の治療の権威である病院であり人気があるようだったので、最短で予約できた日程はほぼ2ヶ月後でした。
日帰り手術なので、当日から自宅に帰ることができますが、手術後1週間程度はゆっくり過ごしたいと考えました。従って、ゴールデンウィークの直前の日程を選択しました。
とにかく、これで治療への道筋が立ちました。
手術と治療の経過
大腸内視鏡検査
手術を受けるにあたっては、まず大腸内視鏡検査を受けなくてはならないということでした。
胃の内視鏡検査(通称:胃カメラ)は人間ドックの検査に組み込まれており経験したことがありましたが、大腸は初めてです。
こちらも手術までの2ヶ月の間に、日程を決め予約し検査を受けます。

ここでの奮闘記は以下の記事にまとめてあります。
なるべく楽に検査を受けるためのコツを書いているので、参考にしてみて下さい。
開放切開手術にて根治へ
痔瘻の手術は、大きく3つに分類されます。病院の方針や痔の複雑さによって、用いられる手術方法が異なります。
痔瘻の手術方法
- 開放切開術
- 括約筋温存術
- シートン法
私の痔瘻は軽度のものであり、開放切開術が採用されてました。
- 当日は朝食抜きで、水とお茶のみ飲むことができます
- 来院後、手術衣に着替えて点滴を受けます
- 腰椎麻酔を受けて手術開始となります
- 20分程度の手術を受けます(この間意識あります)
- 1時間程度休み麻酔が切れたのち帰宅となります
簡単に順を追って振り返ってみたいと思います。
手術の前日夜はアルコール禁止となりますが、大腸内視鏡検査ほどの制約はありませんでした。
手術当日は、ゴールデンウィークの長期休暇を控えた最後の平日(年休)でした。奥さんに「がんばって」と言われ勇気を出して一人で病院に向かいました。
今回、私は日帰り手術で対応して頂きました。
朝食抜きでお腹を空かせ、朝8時過ぎに病院に到着です。この日、私の前にも手術している方がいらっしゃったようで、先生はその患者さんの術中でした。
お医者さんが相当神経をすり減らしそうな手術を立て続けに行っていることを思うと、高い知力と体力が必要で、高収入であることに納得できます。
30分ほど待ったでしょうか。自分の名が呼ばれ、控え室に入ります。そこで手術衣に着替えベッドの上で横になって待ちます。ほどなくして、点滴をセットされまた待ちます。
ここまでは看護師さんが案内、作業をしてくれました。手術前に緊張している私を気遣ってくれた皆さんには、本当に感謝の念しかありません。
そして再度、名前を呼ばれ手術室に運ばれ先生とご対面です。赤ちゃんがはいはいをするような体勢になり、胸元のクッションに寄りかかり楽な状態になります。
手術開始です。
まずは麻酔です。脊髄麻酔というもので、下半身の感覚がなくなるものです。術後、1時間くらい休むと動けるようになります(実際にその通りでした)。

先生が腰のあたりの背骨を触診し、麻酔が上手く入っていくポイントを探り注射で入れてくれました(後ろなので見えない)。これは先生が上手だからだと思いますが、あまり痛くなかったです。
そして麻酔が効いてきたところ切開開放術による痔瘻根治手術の開始です。
「これ、痛くない?」
先生に聞かれても、触られている感覚はあるものの痛みはないに等しいです。麻酔が効いています。
ここから手術がどんどん進んでいきました。

器具がガチャガシャしているのが感じ取ることができますが、痛いというより変な感覚です。じっと待つことしかできません。瘻管が取り除かれている過程でしょうか。電気メスによる焦げたような匂いがしてきます。
事前に聞いていたのは20分程度ということでしたが、体感としてはもう少し長く感じました。
そして手術は無事終了です。明らかに1件目の病院で肛門周囲膿瘍を切開したときの方が局地的な痛みは強かったです。痔の手術の権威の病院にして良かったです。
動けるようになったあと、待合室に戻り、お会計をして帰りました。病院を出たときは、ふーーーと一息。なんとも言えない安心感がありました。
最後まで気が抜けない事後経過
傷口は開いた状態なのではしばらくは周囲から血や侵出液が出ます。最初の方はなかなかの量が出るのでマメなケアが必要となります。基本的に、処方された傷薬を塗ったガーゼを添えてテープで固定したままで生活します。
ここで私のおすすめグッズをご紹介しましょう。
術後1週間程度までの侵出液が多い期間は、下着の代わりに「紙おむつ」を着用されるとベストです。その後、少し落ち着いてきたら「女性用生理ナプキン」を下着にセットして使うと良いでしょう。
いずれも薬局等で自分に合ったものを買えば十分なのですが、恥ずかしいと感じる方は通販でもいいかもしれません。
術後に貰った内服薬は、痛み止め薬、便をやわらかくする薬の2種類です。後者は、便が硬いと傷が痛みため、スルッと出る固さにしてくれて助かりました。
- 初日~2、3日…まだ傷はしっかりあるので、排便時は気を使います。
- ~術後1週間後…まだジンジンします。私はGWを利用し会社を休みました。
- ~術後2週間後…傷と心が落ち着いてきますが、まだ油断は大敵です。
- ~術後1ヶ月後…まだ少し傷口から液が出ますが少量になります。
- ~術後2ヶ月後…完治して長距離の旅行もできるようになります。
こうして、フェードアウトするように私の痔瘻は完治し、解放されました。
手術日決定が3月、手術が5月、完全に元の生活に戻ったのが8月だったと記憶しています。長い戦いでしたが、勇気を出して早期に手術を終えてよかったと思います。
痔瘻の予防のためにできること
最後に、今後も痔瘻にならないようにするため、予防でできることをまとめました。
可能な限り下痢の予防をすること
痔瘻の原因は、基本的に大腸のなかの便に含まれる菌が肛門の内側にある組織(肛門線)に入り込んでしまうことにあります。
通常の便であれば入り込まない場所にあるのですが、下痢などで水っぽい便となっているときに入り込んでしまうようです。
下痢の原因は「暴飲暴食や刺激物・アルコールの摂りすぎなど、生活習慣の乱れに基づくもの」がほどんどとのことです。普段の生活から気をつけられることは、常に忘れずに過ごすべきなんだ反省しました。
ウォシュレットを過剰に使わないこと
おそらく、今回私が痔瘻になった原因として真っ先に思い当たるのは「ウォシュレットの過剰使用」です。以前から、ウォシュレットを最大出力で使用していました。しかも長時間利用する癖がありました。
この際、おそらくウォシュレットの水が体内に入ってしまい、大腸内で下痢と似た状況になってしまっていたと予想します。
今は水圧を弱に設定し、10秒以内の使用に留めています。
職場の椅子にクッションを付けること
直接、痔瘻の原因とされているわけではないですが、長時間お尻に圧力が掛かったり、血流が悪かったりすることを避けたいところです。
ここで非常に便利ななのが「円座クッション」です。会社の椅子の上に置いて使っています。
予防にもいいと思うのですが、手術後、傷が治っていないときにも重宝しました。これに座るとお尻に圧力が掛からなくて楽なんです。家にあるもので十分だと思います。
使ってみると結構快適です。痔に縁がない方でも、普段使いにおすすめできるアイテムですよ。
以上、「30歳前後で痔瘻(じろう)になり手術で回復した話」でした。