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上場企業の経理部が解説する“株主総会招集通知”作成の裏側

今回のキーワード そうかい とは 株主総会 招集通知 作成

株主総会という言葉は、誰もが1度は聞いたことがあるのではないでしょうか。

株主総会を簡単に説明すると、1年に一度、株主を集めて重要な議題を決議する株式会社にとって最も意思決定権の大きな会議になります。

招集通知って何? 経理部門はどんなことをするの?

株主総会召集通知の概要

株主総会召集通知は、その名の通り株主に対し株主総会の開催内容を通知し召集を行うものになります。

召集通知は会議の案内状のような簡素なものになりますが、添付資料には経理部門が作る決算数値関係の情報が多く記載されています。

株主総会召集通知の目次
定時株主総会召集通知 場所や日時等の概要
〔添付書類〕
事業報告 業績の概要とその説明
連結計算書類 連結財務諸表
計算書類 財務諸表
監査報告書 監査法人による証明
〔株主総会参考書類〕
議案及び参考事項 株主総会決議事項のリスト

決算短信や有価証券報告書とは異なり、株主に向けの情報に特化した内容になっています。

一般の個人株主にも向けて作られているので、個々の会計処理についての説明などはあまりなく、比較的分かり易く情報がまとめられています。

経理部門が記載すべき項目

経理部門が大半の部分の原稿を作ります。

「事業報告」に記載する業績の概要は、決算数値からの引用になるので経理部門が記載します。事業に関する説明文書は、経理部門もしくは経営企画部門が記載する会社が多いです。

「連結計算書類」「計算書類」は、決算書そのものなので、経理部門が記載します。

経理部門は、決算短信や有価証券報告書とほとんど重複したタイミングで計算書類も準備する必要があります。

経理部における株主総会召集通知の作成業務の実態

決算数値をもとに計算書類を中心に原稿を作成します

実務的には決算短信とほぼ平行して原稿を作ります。

正確に表現すると「社内で作成した財務諸表の数字を、決算短信用と召集通知用のそれぞれの報告フォーマットに入力する」ことになります。

具体的な召集通知の作成フロー
  1. 株主総会を実施する日にちや会場を決める(2~3年前には抑えています)
  2. 法務、総務、経理といった部門を跨いだ作成スケジュールを決める
  3. ~各種決算処理が行われる~
  4. 作成した決算書をもとに原稿を作成する
  5. 自社内でチェックを行う
  6. 監査法人(公認会計士)の監査を受ける
  7. 証券取引所や証券会社を通して株主に発送

発送期限:株主総会の2週間前まで

株主総会の招集と開催という大きな枠組みのなかに、経理部門の仕事が含まれていると考えることができます。関係部門と連携をとって、遅滞のないよう業務を進めることが必要になります。

 

原稿作成以外にも準備が必要

召集通知の添付資料にある決算書の作成や、当日に経理担当役員から決算の説明をする以外にも、総会に向けた準備が必要です。

株主総会では、株主から経理や財務といった内容に関する質疑が出ることがあるので、想定される質疑に対して事前に整理した答えを用意しておく必要があります。

完全に社内用の資料になりますが、これをしっかりとした用意しておかないと、質問に対し適切に対処できないことにもなりかねません。

私の会社でも経理部門一丸となって、その年のトピックになりそうなテーマで想定される質問とその回答を準備しています。

株主総会そのものは法務部門・総務部門が中心に準備します

召集通知を始め、総会の運営自体を経理部門が取り仕切ることはありません。決算だけを取り扱う会議ではなく、会社としての重要な意思決定を行う機関です。

多くの会社では、法務部門や総務部門が中心になって、会場の確保やセキュリティの管理、全体の進行を行います。

経理部門は、召集通知を作るところまでは大変ですが、本番に仕事があるわけではありません。

一人だけ例外がいます

経理部門の人間は総会本番に仕事がないと書きましたが、一人だけ例外がいます。

最高財務責任者(CFO)や経理担当役員といった、経理部門のトップは当日、業績の説明や株主からの質疑応答のために登壇します。

経理部門で準備した想定問答(Q&A)を手に、当日“株主から受ける質問に適切に答える”必要があります。下手な発言は許されませんので、緊張感がある責重大な大役です。

株主総会の円滑な進行は会社にとっての最重要事項

冒頭にも書きましたが、株主総会は会社で最も強い意思決定機関です。

株主総会では、議案について採決がとられます。

議決権を行使可能な株主の議決権の過半数を定足数とし、出席株主の議決権の3分の2以上により決議する。 … 特例有限会社においては、株主総会の特別決議の要件は、総株主の半数以上で当該株主の議決権の4分の3以上とされている(整備法14条3項)。 総株主の半数以上を上回る割合を定款で定めた場合には、その割合以上とすることができる。
何でも通るわけではありません

何かよほど深刻な問題があったり世間や株主に反感を買う提案があった場合、簡単に議案が通らないこともあります。

会社側からすると、議案を通すことがその総会の成否を決めます。特段の不信がない会社であれば、通常は賛成多数で議案は通ると考えていいです。会社としての信頼を得るために、私たち経理部門の人間は適切な決算と開示を行うため努力をしています。

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