今回のキーワード 正規の簿記の原則 不正 経理マン
今日は、経理として働いているなかで改めて持つべきマインドについて考えました。
多少専門用語が出てきますが、雰囲気で読んでも大体内容は理解できると思うので読んでみて下さい。少しでもあなたの経理としての将来像をイメージする一助になればと思います。
上場企業の経理部員として様々な現場を見てきました
先に記載しておきますが、私の働いている会社ではクリーンな経理をしています。内部統制(ミスや不正がおきにくい仕組み)も構築されています。
ただし、経理処理のなかには、会社の経理部門の判断には裁量が与えられる機会があります。
- 2つの会計処理のどちらも認められており、どちらを選択したかで利益が変わるケース
- 株式などの資産を売るタイミングで税金が発生するかしないか変わるケース
大企業の経理になればなるほど、会計や経理の判断が事業損益に与える影響が大きくなります。
ここも経理の腕の見せ所であり、必要以上に株主に心配をさせないようにしたり、無駄な損失を発生しないようにすることができます。
逆に、減損(げんそん)といって、自社の資産(持ち物)の価値がなくなったと判断して損失を計上することもあります。
実態を適切に反映する会計を継続することが必要です。
頭が良かったり権限がある人ほど不正に近いことをしそうになる
ここで改めて確認しておきたいのは、経理を操作して不正に利益や税金をコントロールすることは決して許されないということです。
- 適正な経理処理をせずに財務諸表を作ると、公認会計士監査で意見不表明・不適正意見という報告書を出されてしまうことがあります。
- 仮装(かそう)・隠蔽(いんぺい)と言われることをすれば、税務調査で重加算税(罰金)が与えられ新聞報道にもなります。
このような不正は、頭がいい人や権限がある人ほど“やってしまいがち”です。
頭がよくないと、社内外の人間に気づかれにくい方法で不正をすることができません。多少会計の理解がある人でなければ不正をするのは難しいと言えます。
また、権限がある人ほど、不正やそれに準ずるものをしたとき、他の人が指摘しにくい雰囲気や環境を作っています。
では、悪意のあるなしに関わらず不正が起こりそうなとき、私達はどのように準備をすればいいでしょうか。
- 正しく幅広い会計知識を得て、実務に反映することを徹底する
- 自分の発言力や説得力を高めるため、普段から丁寧な仕事を心がける
シンプルですが、これらに尽きるのかと思います。
改めて自分はどんな経理の担当者でありたいかを考える
今 経理に求めらるものが変わろうとしている
私は、あえてこのブログで“経理マン”という言葉を使っていません。
偏見もあるのかもしれませんが、なんとなく言葉の響きからひと昔前のサラリーマン像を想像してしまうからかもしれません。
- 効率性を無視した仕事のやり方を継続し根性で決算を乗り切る
- 上司の言われた数字になるように決算を調整しようとする
- 経理のルールを振りかざし他部署の人の環境を理解しようとしない
なんとなくネガティブなイメージがあるんです・・・。
私は、経理は権限があるからこそ自分たちの仕事に対して謙虚でなければならないと思います。
ここで言う謙虚とは、対人での言葉遣いや態度のことではありません。必要があれば、強い態度で発言をすることもあります。自分が担当する会計処理や作る資料に対して、おざなりにならずに適切なアウトプットを出すため考え続けるということです。
- 自分だけではなく全体最適となる効率的な方法を検討する
- 言われた指示通りの処理をするだけでなく“どうあるべきか”を考える
- 周囲の人間や部署の環境を理解したうえで最適な提案や指導を行う
時代や環境の変化で、重宝されるスタッフの人物像も変化してきています。
技術の発展、複雑な取引、グローバルな経営環境、常に変化が起こっています。定型的な事務作業をどれだけ習熟度を上げても、追いつけない時代に突入しています。
必要なのは、オペレーター(作業員)ではなく、オペレーションを理解したコントローラー(操作員)です。
「俺は」正しい経理を続けていきたい
実際に働いていると、人によって、“正しい処理”の定義は違うことがわかります。また、あまり“正しい経理”に興味がない人もいます。
会社員ですから、自分の考えと異なる処理をすることもあります。納得できない仕事もあります。
それでも、私が大事に考えていることがあります。
オレは「正しい」と思ったからやったんだ
後悔はない…こんな世界とはいえ オレは自分の『信じられる道』を歩いていたい!
恥ずかしながら、私が大好きな漫画『ジョジョの奇妙な冒険 Parte5 黄金の風』のキャラクターであるブチャラティの台詞です。
何か判断に迷うとき、物事に対してどう捉えるべきかを考えるとき、一番大事にしている基準です。
実は、会計の世界でもこれに通じる考えを持つルールがあります。
企業会計原則に定められている「正規の簿記の原則」といいます。
正規の簿記の原則(principle of orderly bookkeeping)
企業会計は利害関係者に対して正確な財務諸表を開示するという目的を持つことから、正規の簿記の原則が定められている。
- 企業の経済活動のすべてが網羅的に記録されていること(網羅性)
- 会計記録が検証可能な証拠資料に基づいていること(立証性)
- すべての会計記録が継続的・組織的に行われていること(秩序性)
確かな事実に基づいて、確実な経理を行う。そしてそれが、そのときの都合によって処理を変えることなく継続的に処理を行う。
愚直に会計規則の勉強を継続し、“正しい”経理を行っていくことで、会社にとって有意義な分析や提案を行っていけると思います。
経理で働きたいと考える方は、一度、自分がどんな経理担当者になりたいか考えてみると良いかもしれません。
会社に無駄な損はさせない。実態以上に利益を大きく見せることもしない。それを徹底するのが大事だと考えています。