今回のキーワード 企業 経理 年収
企業の経理部門で働く人の年収について解説したいと思います。
以下の記事では、同じ会社や職場であっても雇用形態(コース)によって給与水準が異なるということを解説しました。
【関連記事】総合職 一般職 派遣|企業の経理における年収と仕事内容の違い
この記事では、給与水準のベースは入社した企業で決まり、より高給を得るにはどのような条件が必要かを解説します。
もくじ
努力では埋まらない企業間の給与格差
総合商社の経理の年収はやっぱり高い
同じ企業の経理といっても、給与水準は企業によって変わります。
誰もが知っているような財閥系の総合商社であれば、総合職も一般職も非常に高給です。
総合職の年収は20代で1,000万円、30代で1,500万円、40代で2,000万円ほどあります。
一般職でも20代で500万、30代で700万円、40台で900万円と、他社では総合職並みです。
営業でも企画でも経理でも、職種問わず同じ水準です。
一方で、商社と同じように外部公表義務のある東証一部上場の企業の平均年収は、会社にもよりますがこれの1/3~1/2程度です。
企業によって経理のレベルが違うといっても、その違いは年収の差ほどありません。平均年収の高い会社の経理になることが高い年収を得る一番重要な要因です。
社内で出世して昇給しても限度がある
同じ会社のなかで出世すれば年収は上がります。ただしほぼすべての日本企業は年功序列で、昇給率もなだらかです。
私の会社でも、40代まではほぼ同期一律です。部門長か役員になる一部の方のみ同期と差が付くような給与水準になります。
ただしポストに限りがあるので、同期30人中多くて2,3人といった割合です。
逆に言うと、それ以外は差が付かないと考えるべきです。
多くの年功序列の会社では、入社したときにおおよその生涯年収が決まります。うすうす気付いてはいても、それを直視する機会がないので認識しにくいのかもしれません。
ちなみに、メガバンクを初めとする銀行は出世次第で生涯年収に大きな差がつきます。
30歳までに役が付かなければ脱落、それでもスピードの差があれども40代後半までは誰でも昇給します。その後、50代でエリートコースの一部のみがさらなく昇給をし、それ以外は出向で賃金が落ちます。
銀行員の給料・年収ってどれくらい?役職別にまとめてみたよ!(銀行員×ブログ=より)
年収のベースを上げたくなったとき、考えるべきは転職活動だということを理解して頂けたかと思います。
転職で高い年収を狙える3つの条件
上記で解説した通り、社内で出世しても昇給に限度があります。年収のベースアップをするためには転職するしかありません。
重要なのは、将来の自分が転職を希望したときに年収の高い企業に採用してもらえるための条件を揃えておくことが必要です。
条件1:作業員ではなく指導者として働ける
転職の採用選考でも、重視されるのは「前の会社で何をしてきたか」ということです。
ただ経理部門に在籍して、決められた通りに仕事をするだけでは説明することができません。“やらされた仕事”では仕事内容の理解には限界があり、積極的に“やった仕事”こそが自分の言葉で説明できます。
ここでいう指導者とは、組織で定められた所属長(上司)になるという意味ではありません。周囲の人間をまとめてチームの仕事をゴールまで導く、リーダーシップを持つということです。
管理部門の仕事は、少なくない事務作業を含みます。勘違いしてはいけないのは、事務作業が得意な人の価値が高いわけではないということです。作業が得意な人は多くいますし、たいていの人は慣れれば一人前の仕事ができます。
重要なことは、チームでやるべきことの全体像を把握し、ミッションを完遂まで導く人です。特に経理は一人ではできない仕事が多い部署です。
作業が得意な人、他部署とのコミュニケーションが得な人、スケジュール管理が得意な人、メンバーのいいところを見つけ、適材適所の分担をして結果を出せる人が求められています。
リーダーとなるには、そのマインドも重要ですが、基本的な経理や会計の知識を研鑽することも忘れてはいけません。経理のリーダーへの道は、簡単ではないのです。
条件2:英語に抵抗がなく英文の会計ができる
グローバルに事業を展開している企業の本社経理部門では、海外のグループ会社の財務諸表を理解する必要があります。また、海外の経理担当者と直接やり取りをすることも少なくありません。
英語で経理ができる能力があるということは、仕事の幅を大きく広げます。
給与水準が高い外資系の企業にも転職の幅が広がることが大きなメリットでもあります。
条件3:長時間の労働時間も対応できる柔軟性
残念ながら、高い給与を払ってくれる企業は、比較的仕事が多い求人であることが多いです。
極端なことを言うと、毎日定時で帰れるような職場の求人には、年収700万円を超えるようなものはないと考えておいた方がよいでしょう。
激務=高給というわけではありませんが、専門知識を必要とし責任のある仕事ほど給与は高く、そうでない仕事ほど給与は安くなります。
会社によっては、高い待遇でも残業があまり多くない(いわゆる)ホワイト企業と呼ばれる会社が存在します。そのような会社は転職市場でも競争が激しいので、選考に通るには優秀である必要があります。
優秀とは、経理としての実績があるということと、行動特性が優れているということです。
私の周りの転職者の実例
【転職事例1】40歳男性Aさん・海外赴任経験者
まずは私の元上司の事例です。
入社後から経理を担当、一度、海外赴任をして海外で経理や人事総務を経験して帰国しました。海外ではマネージャーとして大きな権限を与えられていましたが、戻った国内での権限が小さいことから転職を決めていました。
結果、外資系のメーカーの日本法人に転職し年収を上げました。英語を使って経理の仕事ができるマネージャーとして転職市場でも評価が高く、様々な選考で内定を複数もらっていました。
【転職事例2】38歳男性Bさん・海外赴任経験者
事例1の方と同じように海外から戻ってきた経理部員でした。
上司との関係がうまくいかず転職を決めていました。別業種のメーカー経理に転職しています。
若干年収は下がっていますが、この機会に勤務地は希望通りの地域となり、満足いく転職をしているようでした。
【転職事例3】33歳男性Cさん・連結決算担当者
私の元先輩です。入社時からお世話になっていた先輩なので、転職すると聞いたときは残念でした。入社から経理で、本社経理やグループ会社に出向して経理部長を担当していました。
安定した職場で大きな不満はなかったようですが、新しく覚えることが少なくなってきたということ、地元に帰りたいということの二つの理由から転職を決めていました。
同業他社のメーカーに転職し、希望の勤務地で働きと年収アップとなっています。
経理の年収について まとめ
同じような仕事をしているのに、勤める会社によって年収が違います。
経理であれば、待遇に満足できなくなったときに転職することで、よりよい待遇の会社で働ける可能性が高いです。
しかしそのためには、他社でも通用するようなスキルを身に着けておくことが大切です。経理のいいところは、やったぶんだけ自分のスキルとなり、しっかり自分に成果が還元されるということです。
【関連記事】経理の経験者は転職で有利です|新卒での配属もおすすめ